野山の彩り 山野草Web写真集 深谷利彦
北海道花巡り Part1
私がこれまでに花の撮影のために北海道に出かけてたのは三度。
そうたった三度だけ。
本当はもっと頻繁に出かけて撮影したいところだが
日程や予算の関係もあって思うようには実現できていないのが実状。
これまでに出かけた三度は
最初が7月中旬の大雪山周辺の山歩きで高山植物がメインだった。
二度目が5月上旬で車で移動しながら春の花巡りをした。
そして三度目が5月中旬でオオバナノエンレイソウの群生とアポイ岳登山がメインだった。
今回北海道の花巡りをまとめるにあたって
2回に分けて紹介したいが
まずは二回目と三回目に訪れた時の春の花を紹介して
高山植物はPart2で紹介したいと思う。
エゾオオサクラソウ アポイ岳
北海道の花巡りで魅力的な花が多かったのがアポイ岳。
アポイ岳は標高810mの小さな山だが
かんらん岩という特殊な地質のためか固有種が多くアポイの名がつく植物が多い。
エゾオオサクラソウは北海道全域で見られるので固有種ではないが
登山口から間もない場所で群生する場面に出会った。
状態もよくまさに見頃でいきなり長時間の撮影タイムとなった。
エゾオオサクラソウはオオサクラソウの変異で
花茎や葉柄に毛が多いのが特徴。
その様子は写真からもうかがえる。
下山時にも撮影したが朝の時間帯の方が圧倒的に光線がよかった。
エゾオオサクラソウ アポイ岳
ヒダカイワザクラ アポイ岳
アポイ岳に登ってどうしても見たかった花がヒダカイワザクラ。
絶滅危惧種に分類される希少種だ。
岩場の岩場に根を下ろし可憐な花を咲かせる姿は
一度見ただけで強烈なインパクトとなって記憶に残る。
決して大群生しているわけではなく時々岩場に咲く様子が目に入る程度だが
その美しさに釘づけにされる。
初めて登ってこれだけいい状態で見られたのは運が良かったのかもしれない。
ヒダカイワザクラ アポイ岳
サマニユキワリ アポイ岳
サマニユキワリもヒダカイワザクラと同様見たかった花。
ユキワリコザクラの変異で葉が細く葉の裏につく粉状物が少ないとされている。
これもアポイ岳だけで見られる希少種だ。
想像していた以上に花が密に咲きゴージャスな印象を受けた。
パラパラと咲く場面が多かったが下の写真のように群生する場面も見られて
これだけでアポイ岳に登った甲斐があったと思った程だ。
サマニユキワリ アポイ岳
サクラソウ
これまでサクラソウ科の花を紹介してきたが
北海道にはサクラソウの仲間が多く咲くことがよく分かる。
本当はソラチコザクラも見る予定だったが
道路の工事が進められていて自生地までたどり着くことができなかった。
残念だがまたの機会にということになった。
その代わりという訳ではないが
とある自然公園の中で群生するサクラソウに出会った。
比較的見る機会の多い花だがさすが北海道
無造作に咲いていて驚いた。
サクラソウ
オオバナノエンレイソウ
カタクリの花が終わると北海道はオオバナノエンレイソウが咲く。
限られた場所ではなくどこでも咲いているという印象。
写真は運転中に林の縁が白くなっているのが目に入ったので立ち寄ってみた時のもの。
いわゆる道路脇である。
場所は道東に当たる。
札幌近郊でもよく咲いているし旭川でもこれでもかと咲いている。
オオバナノエンレイソウの群生地があちこちにあるが
わざわざそこに出かけなくてもいくらでも見られる。
むしろたまたま出会ったこんな場所の方がワイルドで面白い。
オオバナノエンレイソウはエンレイソウの仲間の中では極めて花が大きくてダイナミックだ。
オオバナノエンレイソウ 道東
ハマハタザオ 石狩地方
札幌から旭川に移動する途中
海岸を覗いてみるとハマハタザオの白い花が立ち並んでいた。
砂浜ではなかったがなかなか面白い光景だった。
北陸でも何度かハマハタザオを見ているが
空気感が違うのかさすが北海道だなあと思ったことが思い出される。
シラネアオイ
シラネアオイは私にとっては日本を代表する最も美しい花という位置づけ。
自生は日本にしかなく1科1属1種という他に類似の花がないのがその理由。
花は大きくしなやかで奥ゆかしさも気品も兼ね備えている。
まさに日本を代表する花と言ってもいいのではと思っている。
多雪地の山地に生える野草で本州では日本海側でしか見られない。
パラパラと咲く場面に出会うだけでも嬉しいのに
この群生には参った。
林の中一面に広がるシラネアオイを前に言葉がなかった。
ヒダカハナシノブ
ソラチコザクラを見に出かけたものの
林道の工事で先に進めなくなった時
車を停めたその周辺を少しだけ散策してみた。
その時出会った花がヒダカハナシノブ。
まさかこんなところで出会うとはと驚きを隠せなかった。
もちろん初見の花。
北岳でミヤマハナシノブをよく見ているので
ハナシノブの仲間であることはすぐに分かったが
ヒダカハナシノブでいいのかどうか確信が持てなかった。
帰宅後に調べてみるとヒダカハナシノブで間違いなかった。
野草の散策はこんな風に目的の花ではなく
偶然出会った花の方が感動が大きいものだ。
フチゲオオバキスミレ 恵庭岳
北海道で見たスミレの仲間も多いがこのページでは
一部のスミレだけにとどめる。
写真はフチゲオオバキスミレ。
一見オオバキスミレだが葉の縁に細かい毛が生えている。
もう少し分かるように写真を撮ればよかったと後悔している。
エゾエンゴサク 江丹別
北海道の春の花園の写真と言えばカタクリとエゾエンゴサクのお花畑が
あまりにも有名だ。
出かける前から色々と調べて立ち寄りたい場所を何ヶ所か地図にマーキングしておいた。
ところがその年は暖かく春の花が早くから咲き出して
出かけた時には終わっていた。
残念だったが仕方がないこと。
寒い旭川なら大丈夫だろうと思ったがそこも同じ結果だった。
カタクリはともかくとしてエゾエンゴサクの群生は是非とも見たい。
そんな時思い出したのが
旭川から1時間くらいの場所にある江丹別なら春が遅いという情報。
翌朝ダメ元で出かけてみると情報通りの結果。
エゾエンゴサクが川沿いや道端にいくらでも咲いていた。
写真は車を停めたすぐそばから撮影したもの。
北海度のワイルドさを見せられた思いだった。
エゾエンゴサク 定山渓温泉近く
定山渓温泉に宿を取っていたので翌朝周辺を散策してみると
エゾエンゴサクの群生に出会った。
一面に広がる様子はまさに圧巻。
ここにカタクリが混じっていればとさらに最高なのにと思ったが
贅沢な要求かもしれない。
エゾエンゴサクは青紫系の色が多く花も密に咲くのでとてもゴージャス。
オオバキスミレ 江丹別
江丹別でエゾエンゴサクの群生を見た後に
もう少し北の方まで車を走らせたときに出会ったオオバキスミレの群生。
道路脇の道端である。
大好きなスミレなのでテンション上がりまくり。
そしてこの近くにはエゾオオサクラソウも咲いていた。
北海道の魅力はよく知られた場所ではなく
道端の何気ない場所に展開していることを改めて知った。
ヒトリシズカ 札幌
北海道の花巡りのページなので北海道ならではの花の紹介の方がいいが
これは札幌の自然公園内で見たヒトリシズカ。
公園内ではニリンソウやカタクリも咲きシラネアオイも時々出てきて
楽しい散策だった。
そんな中で出会ったヒトリシズカ。
どこでも見るような光景だったが北海道で花巡りしているという気持ちの高揚が
撮らせた一枚だったかもしれない。
アポイアズマギク アポイ岳
アポイ岳に咲く花はいろいろと紹介したい花が多いが
アポイアズマギクは外せない花。
ミヤマアズマギクの変異で白い花を咲かせる。
かんらん岩という特殊な地質が変異をもたらしたと思われる。
高さも少し低いような印象を受けた。
アポイアズマギク アポイ岳